終活リーフレット・事前指示書配布(京都市)に抗議

イメージ 2京都市で、障害者や、人工呼吸器・胃ろうなどの医療機器ユーザーの尊厳を傷つけるパンフレットが配られはじめました。
あなたは、終末期になったら、人工呼吸器をつけますか?など、市民に対して、なんのケアや医療の情報提供もなしに、問いかけるリーフレットと、その選択を今のうちにしておけ、という「事前指示書」を、この4月から配布しはじめたのです。
終末期といっても、リーフレットで言われているのは、生命維持装置をつけなければ早期に死んでしまう状態、といった程度のこと。つまり、人工呼吸器や胃ろうをつけて人生をエンジョイしてる人たちの生は、生きるに値しないのではないか、というイメージを広めるかのようなリーフレットです。

京都新聞が詳細を記事にしています。

本日、このリーフレットと事前指示書に対して、JCILは、配布中止と回収を求める抗議行動を行いました。
抗議文は末尾に掲載します。

京都市担当者とお話ししていてわかったのは、ほんとに安直に、世間に流布する優生思想に基づいてつくられたものだということです。
終末期、延命措置、事前指示書などが、まだまだ問題含みのものであり、議論の余地があること分かったうえで、わかりやすさを優先して、出してしまった、引っ込みがつきにくい、という感じです。
当事者の意見は、聞けていませんと、素直に認めていました。
なんらかのかたちで、撤回なり、抜本的改正などを考えていただきたいです。
イメージ 1

もっと、京都市に、当事者の立場から声を届けることが大事と思います。
リーフレットと事前指示書はこちらから参照できます。
京都市の担当は健康長寿企画課になります。

とりいそぎ、簡単な今日の報告ですー

イメージ 3

イメージ 4



2017年4月27日 
京都市長 門 川 大 作 様

日本自立生活センター 代表 矢 吹 文 敏 

「終活リーフレット」及び「事前指示書」の配布中止、回収を求める意見書

貴職におかれましては、市民の福祉向上のために日夜ご奮闘され、特に障害者福祉にも先駆的に取り組まれていることに敬意を表します。私たち「日本自立生活センター」は、障害者による障害者のための障害者運動の拠点として1984年に設立し、「どんなに重い障害があっても、一人の人間として市民として、地域社会の中で『尊厳ある命と生』を全うすること、それができる環境になること」を目ざしている障害者団体です。

私たちは、京都市において4月から配布され始めた「終活リーフレット」を読み、私たち重度障害者の「命と生」を否定され、「生の尊厳と心」を深く傷つけるものであったことに驚き、愕然としました。私たちの周りには、人工呼吸器や胃瘻等の医療機器を使用しながら地域で生活する仲間が多く、周りの人たちと共に、自分の「命」や仲間の「生きる」ことについて向き合い、「人間の生は尊厳あるものであり、大切な命であること」を常に訴えてきました。

今回、突然に配布された「終活リーフレット」は、百歩譲って一般的に解釈すれば、高齢者に向けて「元気なうちに遺言を考えたり、自分の財産や死に際を自己決定しておくべきである」ということの啓蒙であるのかも知れませんが、若くして医療ケアを受けながら日々命と向き合っている私たちにとっては、「(あなた方の)生は無駄であり、早々に死の選択をすべきである」と宣告され、私たちの地域における自立生活そのものを全否定することのメッセージを行政の力によって社会にばらまかれた思いであります。

安楽死尊厳死問題なども含め「障害者なんて産まれてこなければ良かった」とか「心ない扱い」を受けることなど、連続的に差別が繰りかえされ、私たちは命の選別を幾度となく問われてきました。社会は、私たちをいつも「社会福祉だけの世界」に閉じ込め、障害者を排除したいというメッセージで溢れています。私たちは「生きる」ことを選んでいます。自分の置かれた状況と仲間、家族、支援者、医療関係者などと共に悩みながら生きてきましたし、これからも生きていきます。

今回の「終活リーフレット」は、「終活」とか「終末」いう言葉の定義も説明もないままに、早くから遺言を書いておきなさいと督促するものであり、これは、元気な健常者の発想以外の何ものでもなく、大怪我や難病などで病院や在宅で闘病している私たちの仲間にとって精神的に著しく傷をつけるものであります。「生きる」ということ、「命」というものについて、これまで真剣に考えてこず、全く経験や知識や情報がない人たちに、自分の命の選択をさせて良いのでしょうか。

人は誰であれ「死に対して常に揺れるもの」であり、一瞬を切り取って「自己決定」を迫るものでは無いはずです。今、行政が行うことは、拙速な「死」への勧めではなく、どんな状態にあってもすべての市民が「尊厳ある生活」を送り続けることを支援することではないでしょうか。

今回の「終活リーフレット」および「事前指示書」は、医療関係者、宗教家、司法関係者などの説明もないまま、行政機構として上から目線の一方的なものであり、あまりにも安直なものであり、極めて不適切なものであります。私たちはこのリーフレット及び事前指示書を即刻配布中止、回収を求めるとともに、内容に関してはもっともっと十分な説明のもとに別の方法で実施すべきものであると考え、抗議ならびに意見を申し上げる次第です。

以上

京都市交通局 地下鉄職員研修

4月4日、京都市交通局の地下鉄職員の研修を行いました。
13名の新採職員の方々が受講されました。
障害当事者が講師役を務める研修は、市バス乗務員を対象に行ってきましたが、地下鉄部門は今回が初めてです。
内容はバス乗務員同様、講義と車いすを使った実習、ディスカッションという構成です。
研修の際はいつも来ていただく山名さんにも講師を務めていただきました。
講義は地下鉄運動(誰でも乗れるようにエレベータの設置を要望した)の歴史や各地の先進事例の紹介、様々な障害への理解と差別解消法、ホーム柵運動、コミュニケーションと盛りだくさんの内容でした。
イメージ 1

実習は悪い接遇の事例と手動車いす電動車いすの体験。そのあとにホームで車いすでの乗降をしてもらいました。
イメージ 2




















イメージ 3



















イメージ 4


















イメージ 5






















実習の後に感想などを言ってもらう振り返りの時間を設けました。
障害がある人にも決めつけや先入観を持たず、本人と話をしていくことが大事であるとお伝えしました。


【ご報告】第31回国際障害者年連続シンポ 相模原障害者殺傷事件 どう受け止め どう考えるか

2017年3月18日(土) 京都テルサ 大会議室 にて、

第31回 「国際障害者年連続」 シンポジウム
相模原障害者殺傷事件
どう受け止め どう考えるか

を開催しました。


イメージ 6










まず初めに、国際障害者年連続シンポジウム実行委員長の矢吹よりご挨拶。
その中で、
「31回目であり、36年の歴史があるシンポジウムだが、
その中でも今回のテーマは、個人的には、実はあまりやりたくないテーマで、残念だ」
との発言がありました。

多分同じように感じておられる方も多かったのではないでしょうか。

障害者差別がなくなることを、みんな長年、心から願って活動してきました。
にもかかわらず、差別意識を堂々と掲げた一人の人によって
多くの尊い命が失われ、傷つけられてしまいました。
そして、優生思想が今も社会にはびこり続けていることを、こんな形でまざまざと突きつけられています。
また、障害者を社会から排除しようとした加害者も、社会から排除されてきた経験があり、この事件によってまた彼も、社会から排除されようとしているという入れ子構造。

このような問題に向き合う時間でした。



■第一部(11:00-12:30)
「神奈川の現場より~亡くなられた方々のことと、現在の神奈川の動き~」

西角純志さん (津久井やまゆり園元職員、専修大学兼任講師)
第一部の最初は、やまゆり園元職員の西角純志さん。匿名の犠牲者が社会から忘れ去られるのを食い止めるため、彼・彼女らの生きた証を残そうとされています。西角さんが直接ケアをしたことのある男性7名を中心に、19名の犠牲者のことをおしえていただきました。また、歴史を含めてやまゆり園とその地域がどんなところか、園の建て替えか?地域移行か?今後を左右する各関係機関の動きなどを語っていただきました。

イメージ 5



















西角さんのお話しのあとは、神奈川新聞の取材(http://www.kanaloco.jp/article/207185)で明らかになった、19名のエピソードを一人ひとり読み上げ、会場の皆さんで黙とうをささげました。


ピープルファースト横浜 (知的障害者の当事者団体)
知的障害者の当事者団体であるピープルファースト横浜の小西勉さん。やまゆり園入所者の地域移行の実現に向けて、入所者自身の声をきいてほしいと要望活動をしていることをお話しいただきました。


同愛会 (入所施設やグループホームなどの運営法人)
同愛会の大川貴志さん。入所施設の運営法人ですが、他害行為などにより、地域移行が難しいとされているような方も地域で暮らせるよう、支援されています。入所施設では、支援する・されるという関係が一方的で、暴力的な関係だという自覚、一生暮らす場ではなく通過施設という目的を持つこと、そうやって有期限あること、これらの条件がないと、たくさんの虐待事件・事故がおきると、日々の実践を元にお話しいただきました。


次に、この事件を継続的に丁寧に取材されている、神奈川新聞の成田記者にも発言いただきました。
成田記者は、事件の背景には、社会の側で持っている差別や無関心がある。私たちははたして、差別や無関心について、どれだけ考えてきたのかということを強く考えていると話されました。



■第二部(13:30-15:00)
「事件についてそれぞれの思いを聴き、また語る時間」

イメージ 3

























イメージ 4




第二部では、様々な立場の方々に個々の思いを語っていただきました。

ピープルファースト京都の当事者5名 は、犯人の気持ちがわかるとか言われると、すごくつらい、私たちの気持ちをもっとわかってほしいと訴えました。

岡本晃明記者(京都新聞 は、非難される遺族の痛みが世間で見落とされがちなことや、匿名性が高まる社会で問題が公にならないジレンマをお話しいただきました。

平田義さん(重度心身障がい者通所施設シサム所長) は、重い障害のある人が社会に出てお互いが知っていく中で、差別していた人達の考えも変わっていく、言葉を発しない人の思いも、日々付き合っていく中で分かっていくと話されました。

佐々木和子さん(京都ダウン症児を育てる親の会) は、出生前診断は、障害があると診断された人の9割が中絶と、障害を理由に中絶するものになっており、これは、障害があると不幸になるからいないほうが良いという風潮のあらわれではないか。また、分離教育の政策そのものが、この事件を生みだしたと思うと話されました。

松波めぐみさん(大学非常勤講師) は、過去の優生保護法による強制不妊手術は、障害者は出産子育てをしない、どうせ何もわからないだろうという決めつけがあった。そのような障害者観は、今回の容疑者の言っていることと同じではないか。 優生保護法廃止後20年間、これだけの人権侵害が総括されないで来ていることは、大問題ではないかというお話しでした。

JCIL当事者3名 は、施設暮らしの経験と地域での今の生活を比較して、障害者が地域で生活できる社会をもっと推し進めていくことが重要だと訴えました。

猿渡達明さん(元相模原市民、脳性マヒ者の会一歩の会) は、私たちは、地域でたくさんの手を借りてここにいるだけですごい価値があるのだというメッセージを、障害当事者として一生懸命伝えてきたし、この問題に関連しても伝えていきたいと話されました。



■第三部(15:00-16:30)
「事件の背景や今後の課題について」

イメージ 2



第三部では、事件の背景や今後の課題を、専門家のお二人にお話しいただきました。

熊谷晋一郎さん(東京大学准教授・当事者研究
暴力というのがどういう時に起きるのかを、この一つの事件から説明するのではなく、研究結果から一般的に言えることを教えていただきました。加害者がリスクが高い人だと、すぐ排除しようとされるが、それでは解決しない。リスクが高いというのはニーズを持っているということであり、支援のための税金を、そこに集中的に投資すべきだとお話しされました。また、暴力の被害者側・加害者側のどちらからアプローチしても、いずれも条件をあらってみると、その人を排除している社会が原因と、私達全員を含めた社会の責任を強調されていました。


尾上浩二さん(DPI日本会議副議長)
メディアの多くと政府は、障害者村で起きた事件と捉えた。社会は何一つ問われることはない捉え方。問題が精神保健福祉法の見直しへ矮小化されているのもその延長。そして神奈川県の施設建て替えの意向。いずれも、社会から障害者を分離することをよしとする考え方だが、そうではなくインクルーシブな社会を作っていがなければならないと語られました。


イメージ 1













































上記の他にも、会場からたくさんの発言をいただき、ありがとうございました。
また、アンケートを書いてくださった方、ありがとうございました。複雑な思いや迷いを書いてくださった方が多数おられました。
当日は、約250名のご来場があり、それだけ多くの方々が問題意識をお持ちだったということだと思います。(予想を上回るご来場数で、席やスペースが不十分であったことをおわび申し上げます。)
このシンポジウムは、何か結論を出すという趣旨ではありませんでしたが、相模原殺傷事件に関する様々な問題、いろんな立場の人々の思いを、たくさんの方々と共有できたのではないでしょうか。
このテーマについて、ここから先は、シンポジウム参加者に多かったであろう福祉関連の皆さんの中だけでとどめずに、もっと広く、世間一般で身近に捉えてもらえるよう、皆さんの発信や活動にも期待しています。私たちも、これからもずっと考え、行動し続けたいと思います。



「変わるべきは社会」 京都で相模原殺傷事件考えるシンポ
2017.03.18 京都新聞


相模原殺傷事件 障害者や元職員 考えるシンポ
2017.03.19 朝日新聞


〈時代の正体〉 誰もが排除されない社会とは  相模原障害者殺傷事件考
2017.04.12 神奈川新聞
今回のシンポの内容を大変詳しく書いていただいています。途中まで無料で読めます。


検証 相模原殺傷事件 識者に聞く 障害者が身近な社会に
2017.01.27 京都新聞


バリアフリー広め隊のフェイスブック始めました

バリアフリー広め隊」のフェイスブック始めました。
バリアフリー広め隊は、主に車いす使用者の視点から、街にバリアフリーを広めることを目的に活動している集まりです。
みなさん、「いいね!」を押して、ぜひぜひチェックよろしくお願いします!


写真のオレンジ色で丸してあるところが「いいね!」ボタンです。

イメージ 1



「いいね!」を押すには、フェイスブックへのログインが必要です。
フェイスブックに登録していない方は、これを機に登録してみてください。


2016年9月26日「相模原障害者殺傷事件の犠牲者を追悼し、想いを語る会」集会とアピール行進のご報告

2016年も残すところあと1ヶ月半となってしまいました。 
JCIL本体は、相変わらずいろんなことが目白押しで、
この夏から秋も、いろんなイベントやニュースがあったのに 
ブログを更新できていません。 
相模原津久井やまゆり園でおきた障害者連続殺傷事件のことが、 
皆の心のどこかに重くのしかかっているからのようにも思います。 
 
合同交流会(災害時の障害者について)、 毎月の熊本震災募金、 車いすキャンプ、福祉まつり etc. 
とある小学校の生徒さん達から、「駅のホームドア設置のために役立ててください」と寄付をいただくという 
とてもうれしい出来事もありました。これに関しては後日ここで詳しくご報告したいです。 
 
 

少し前のお話ですが、今日は、 
2016年9月26日(月)に参議院議員会館大講堂と日比谷公園→東京駅方面にて行われた、 
「相模原障害者殺傷事件の犠牲者を追悼し、想いを語る会」集会と、そのアピール行進 
のご報告です。 
JCILから、本体所長の香田晴子が参加し、 
「この事件は国民1人1人の問題。障害者を社会から排除するな」 
と書いたメッセージボードを掲げ行進しました。 
事件について香田は、 

障害者はいなくなればいいと容疑者が話していると聞いてショックを受けた。障害者差別解消法は施行されたが、やはり人の気持ちはなかなか変わらないという失望感と、人々の意識を変えていくことの難しさを感じた 

ということを、NHKの取材でお話ししました。 

この事件について私たちは、事件の被害者お一人おひとりに思いをはせ、
障害当事者としてできることを、日々実践していきたいと思います。
そしてこれを読んでくださっている皆さんも、一緒に考え続けてほしいと思います。
 
イメージ 1

 

「相模原障害者殺傷事件の犠牲者を追悼し、想いを語る会」集会と、そのアピール行進詳細 
 
アピール文 

いのちのとりで裁判 全国アクション記念設立集会に参加しました

11 月7日、いのちのとりで裁判  全国アクション記念設立集会に行ってきました。
場所は衆議院第一議員会館の大会議室。全国から生活保護引き下げに反対し、裁判などで闘う人々、220名が集まりました。各地で同様の裁判が行われていますが、その全国組織を立ち上げたのです。
イメージ 1


基調報告は大阪の弁護士、小久保哲郎さんが担当しました。
小久保さんは、引き下げの根拠となっている「物価の下落」がまやかしであること、最初から削減の枠が決められており、審議会では結論ありきで議論が進められたこと、更なる引き下げがもくろまれていることを簡潔に報告してくれました。


イメージ 2

27都道府県900名の原告が声をあげています。
今回の集会でも埼玉や青森などの原告、支援者が登壇しました。
病気やDVに苦しみ生活保護を利用していることなど、切実な話が続き、青森の支援者からは魅力的なイベントを開いて運動を盛り上げている話がありました。

イメージ 3




国会議員からもあいさつがありました。
 山本太郎氏、高橋千鶴子氏、初鹿明博氏が発言しました。

後半はミニシンポジウムです。
もやいの稲葉剛、やどかりの里の佐藤晃一、エキタスの藤川里恵さん、介護者のネットワークを作っている藤原るかさん、が発言者でした。
それぞれの地域、職場で貧困問題に取り組む方々の話を聞くことができました。

生活保護は様々な問題につながっています。
医療や介護の後退、最賃を上げる運動、軍事費ー自衛隊の拡大を食い止める運動等々は生活保護引き下げ反対と連動しています。もちろん障害者の自立生活運動ともです。
色んな運動とつながって生活保護の改悪に反対していくことが大事だと感じることができた集会でした。



京都府北部で、差別解消法と自立生活について講演してきました

2016年6月29日(水)第30回人権啓発京都府集会が
京都府北部にある福知山市厚生会館にて開催されました。
その中でJCIL本体は、
差別解消法に関する寸劇などのご依頼を受け、披露させていただきました。


――― 午前 ―――

まず午前中は、民谷渉弁護士による「障害者差別解消法について」
この法律の内容を詳しくお話しされました。
その中で、抽象的な法律から分かりやすい具体例を挙げるために、
障害当事者を中心に結成されたJCIL劇団が、
実際にあった2つの差別事例を演じました。

イメージ 1

























● 「バスに乗りたい」

車いすの障害当事者が、思い立ってとある動物園へバスで行ってみようとした。
来たバスは、昇降口が階段で車いすでは乗れず、
運転手さんが営業所へ電話したら、所長さんが出てきて
「事前に連絡をもらわないと車いすでは乗れない」
と言われた。
仕方なく動物園はあきらめて、街中へ行こうと思ったら、
運よくこちらはノンステップバスだった。
だが、障害当事者が、
「乗車時、怖いからスロープを出してほしい」
と言っているのに、運転手は
「スロープなんてないし、わしが危なくないように乗せる」
と無理やり乗せようとした。
実際バスにスロープは付いていたが、運転手はそれを知らず、
普段から車いすの乗客がいない様子だった。

イメージ 2

バス一つ乗るのに、これだけ困難が立ちはだかる状態。
バスでもっと出かけたいのに...健常者ならスルッと利用できるのが当たり前なのに...
みなさんが車いすユーザーならどうするでしょうか?



● 「地域生活 ずっとこの家で暮らしたかったのに」

愛着のある実家、住み慣れた地域。
ヘルパーを利用をして実家で一人暮らしをすることに
ずっと一緒に暮らしてきた母親も賛成だったのにもかかわらず、
母亡きあとも、ヘルパー利用により
そこに住み続けることが可能なのにもかかわらず、
別に暮らしてきた妹が、障害当事者本人の希望に反して
無理やり施設入所を決めてしまった
という内容。

イメージ 3

施設入所して安心安全なのは、誰なのか?
障害者だから仕方ない という世間一般の価値観に、考えなしに乗ってませんか?
その価値観の前では、一人の人としての意思を無視してもいいのでしょうか?




――― 午後 ―――

午後は、第2分科会にて
3つの報告と、パネルディスカッションに参加させていただきました。


● 報告1 : みきお物語

33歳まで自宅で母の介護で過ごしていたみきおさん。
自宅からも自室からもほとんど出ることのない毎日。
母の死を機に施設生活へ。
それまでの自宅での生活よりは良かったけど、
食事にも時間にも外出にも、厳しい制限が設けられている日々。
55歳で施設を出て、地域での自立生活開始。
今は、大好きなお刺身を食べたり、あちこち出かけたり、地域でいろんな人と出会ったりと
自由を満喫している。
このことを、いろんな人に伝えていきたい。

イメージ 4

物語り形式の中、ポイントごとに本人出演で、リアリティーのある寸劇をはさむ形でした。
重度訪問介護があまり実施されていない京都府北部(*注)では、みきおさんのような重度障害者が、そんなふうに地域で一人暮らしをすることは、なかなか思いつきもしないことかもしれません。
きっと、驚きをもって、多くの方々に深く伝わったのではと思います。
伝えられたい方、ご一報ください~

(*注)
重度訪問介護の実施がほぼゼロの市町村もある。
ちなみに、小規模自治体ゆえに財政が厳しくても、長時間介護を実施可能にする補助金制度 「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業」 を利用している自治体は、府下26自治体のうち7つ。(亀岡市長岡京市京田辺市南丹市大山崎町、宇治田原町京丹波町。2016年6月現在)北限は京丹波町




(※ここから先の写真で、机に貼られている氏名と登壇者が
対応していない場合があります。)

● 報告2 : バリアフリー広め隊~福知山の街はバリアがいっぱい?~

イメージ 6
事前に福知山市バリアフリー度のチェックに赴き、
福知山駅周辺の商店街とスイーツ店を中心に報告しました。
事前予想では、失礼ながら、地方ですしバリアフリー度は低いのではと皆考えていました。
しかしその結果は、予想に反したものでした。
京都市の商店街の写真との比較もしたのですが、
全国からの観光客でにぎわう京都市の商店街でも
まだまだ入り口に段差のあるところがたくさんあるのに、
チェックした福知山の商店街やスイーツ店は
入り口フラットで入れるお店がたくさんありました。
ですが、車いすのお客さんは一人も見かけなかったですし、
店員さんに聞いても、車いすの人は稀とのことでした。
福知山市障害福祉課の方によると、
それだけフラットな理由は明確には分からないけれど、
バリアフリー重点整備地区に該当していることもあるかもしれないとのことでした。
興味のある方は、以下のスイーツマップなどを片手に、福知山の街を訪れてみてください。




● 報告3 : 私の自立生活

障害者の自立生活とはどういったものなのか?
重度身体障害者の私が、
なぜ、どうやって自立生活を始めたのか、その流れを
オカヤマがお話しさせていただきました。

イメージ 5

「障害者の自立生活」とは、具体的にどういう生活のことを言うのか?
「自立」 「生活」 両方ともごく一般的な単語であるからこそ、各々で想像し、みんな違ったイメージを持っているのではないでしょうか。障害福祉に縁のない人だけでなく、業界内でも、場合によっては解釈に食い違いがあるのではと思います。
私が今回用いた意味は、以下のJILのページに詳しい解説があります。
http://www.j-il.jp/about-rinen
このような、「障害者も地域で主体的に生活できる社会」が推し進められていくこと=差別解消が進むということですね。




● パネルディスカッション

ここまで、またまた例によって長ーくなってしまったので
個人的に印象に残った話を1つだけ。
京都市バスの乗務員の対応に、乗客の障害当事者が、怒りをあらわにした話。
パネラーのお一人が、
「乗務員の行った介助は間違ってはいなかったのに、なぜ?と思ったが
まあそういう風な(すぐ怒りの感情が出てしまう)障害者も存在しますよね」
という認識でした。
しかし、JCIL小泉としては、
「障害当事者からすると、
どうしてほしいのかを、まず最初に当事者本人に聞かずに、
乗務員が乗務員本位に動いてしまったからではないか」
という意見でした。

イメージ 7

これ、障害当事者からすると、重要ポイントですよね。私も、狭い場所で車いすの方向を変える時に、後ろのグリップを持って後輪を持ち上げると、頭が前へガクンと落ちることがあって危険なので、声かけ無しにやらないでほしいのですが、それをこちらから伝える間もなく、いきなりされることもあります。障害当事者が望む介助や配慮は、人によっては違う部分もたくさんあって、そこはまずは聞かないと分からないです。聞かずに介助側の思い込みでやってしまうと、危険だったり、障害者が、またはお互いに痛い思いをすることもあります。また、その人の意向をちゃんと確認しようとするということは、相手を一人の人として尊重するということだと思います。差別解消法は、そうやって障害当事者と周囲の双方が、対話をしていこうと言っている法律でもあると思います。




以上、2016年6月29日(水)第30回人権啓発京都府集会への参加報告でした。
福知山のバリアフリー調査報告の中で、JCIL下林から
「バリアが多くても、そんなもんだと、なんとなくスルーしているのは、健常者だけじゃなく、障害当事者にもそういう部分があるのでは?」
という意見がありました。これは、今回の他の報告にも言えることですね。
そのスルーは、無意識の当たり前か?それとも諦めか?
どちらにしても、スルーしないのが差別解消法の趣旨だと思います。
それが、たくさんの人に伝わっていればいいなと思います。
(オカヤマ)