京都市内で起きたALS患者の嘱託殺人事件についての見解

日本自立生活センター 代表矢吹文敏

京都市南区東九条松田町28メゾングラース京都十条101

電話075-671-8484 FAX075-671-8418

 

 ALS患者に対する嘱託殺人の容疑で、2020年7月23日、医師2名が逮捕されました。亡くなられた方のご冥福をお祈りすると同時に、今回の事件に対する日本自立生活センターの見解を述べます。

 

  • 人を死なせたかった医師による「嘱託殺人」

今回の事件は、バレずに人を死なせたいという思いを実行した医師らによる明らかな「嘱託殺人」事件です。容疑者二人は、「医療に紛れて人を死なせる」すべを描いた『扱いに困った高齢者を「枯らす」技術』という電子書籍も出版していました。しかも130万円受け取って実行したとも報道されています。

医師という肩書を乱用して、人を生かすのではなく死なせようとし、また、お金を受け取って人を殺害することは許されるべきことではありません。

この医師らがこれまで同様の犯罪を犯していないかどうか、余罪の追及もされるべきです。

 

 

  • 死ではなく生きる方向へと支えること

一方で、本人が安楽死を願っていた、とも言われています。「本人が死にたいという思いをかなえてやったのだから良いではないか。」と考える方がおられるかもしれません。

しかし、たとえば芸能人や有名人の自死に対しては、世間の人は同じような反応を示したでしょうか?「心の弱っている子」を狙ったとされる「座間9遺体事件」のとき、私たちはその若者たちの死を肯定したでしょうか?

 私たちが毎日を生きると言うことの中では、云われのない誹謗中傷を受けたり、生活の糧である職を失ったり、親しい者の死や失恋による心の傷、パワハラ、いじめ、さらに不治の病や障害など、死にたいと思う理由はいくらでもあります。

仮にもせよ私たちの社会が、病や障害を自死の理由として、積極的に死を選ぶことが正当化され許される社会ならば、それは明らかに間違ったものです。

今日の普通の生活では、自分の身辺の人が何らかの理由で「死にたい!」という意思表示を行なった場合、周囲の人たちはその思いを受け止めつつも死ではなく生の方向へと支えようとするのが当たり前のことです。その自死の意思を示した人が、難病や障害、高齢などの要因をプラスされた方であるとしても、その扱いに違いが生じてはならないことは言うまでもありません。

たとえ死にたいと思うことがあっても、本人を支えて、死ぬことではなく生き続けることに向かえるようにすることが、自殺大国である日本社会の責任のはずです。死にたいなら、死んでもいい、死んでくれ、というような社会であってはなりません。

 

 

  • 死にたいと思わせる社会が問題だ

人が死にたいと思うとき、そこには必ず人間関係上の問題や社会的要因があります。難病患者や障害者をとりまく現代の社会状況は、今なお厳しいものがあります。私たちの生を否定するようなメッセージがしばしば聞こえてきます。

医療や介護の社会資源も不足し、多くの現場が疲弊しているため、場合によっては、医療者や介護者からも否定的メッセージを受け取ることもあります。

難病患者や障害者たちへの差別や偏見の解消、そして介護・医療の受け手と担い手、双方ともに安心して生きられるだけの医療や介護の充実、それらがまず目指されるべきものです。

 

 

  • 相模原障害者殺傷事件と今回のALS患者嘱託殺人事件の共通点

くしくも、相模原障害者殺傷事件から4年目と重なりました。意思疎通のとれない人はいらないと考え障害者43名を死傷させた死刑囚と、高齢者や重度障害者を「死なせたい」と考え自ら犯行を提案し実行した今回の容疑者とは、根っこは共通です。同時に、こうした事件が起きると、安楽死尊厳死の合法化の議論を望む人々も必ず現れます。

今、この社会の水面下で、重度障害のある人の安楽死を肯定しかねない議論があることに、私たちはきわめて大きな危機感を抱きます。今回のような事件を見ると、すでに見えないところで(本人の意に反したものも含めて)さまざまな形態の安楽死を擬した殺人が行われているのではないかという危惧の念も抱きます。

私たちの命を奪いかねないような議論はやめてください。私たちの命に充実や楽しみや励みを与えるような議論をもっと行ってください。

 

 

  • 「自殺ほう助」や「嘱託殺人」の合法化はあってはならない

こうした事件が起きると、自殺ほう助や嘱託殺人(いわゆる安楽死)の合法化の議論が起きます。しかし、国が、人が死ぬことを手助けするような法制度をつくるべきではありません。国は、人が生きるための手助けをする法制度をつくるべきです。死にたいと思っている人が、どうしたら生きたいと思うようになるか、それを実現するための法制度をしっかり考えていくのが国の責任です。

 

以上

地下鉄烏丸線ホーム柵署名提出

7月21日、これまで市民の皆さんから集めた地下鉄烏丸線全駅へのホーム柵設置を求める署名を京都市交通局に提出に行きました。

昨年12月に京都市が2028年度までの全駅設置方針を打ち出し、それを受けて私たちの運動も一区切りになります。

代表の山崎からホーム柵設置のお礼を述べた後、前回の5000筆の提出後に集めた4172筆を担当者の方にお渡ししました。

これまでご協力いただいたみなさん。本当にありがとうございました。

 

f:id:jcilhontai:20200722101512j:plain

f:id:jcilhontai:20200722101507j:plain

生活保護改悪反対!募金活動

6月6日、四条河原町高島屋前で生活保護の改悪に反対する活動への支援を呼びかけ、募金を集めました。

新型コロナウイルスの感染拡大への配慮のため、メンバーはマスク着用、ビラは手渡しではなくホルダーに入れて取ってもらう形態でおこないました。

多くの方に募金をいただきました。ご協力ありがとうございました。

7月27日には京都地裁で期日、9月27日には「生存権を求める京都デモ2020」が行われます。

 

 

f:id:jcilhontai:20200609100031j:plain

 

f:id:jcilhontai:20200609101621j:plain

f:id:jcilhontai:20200609101633j:plain

f:id:jcilhontai:20200609101641j:plain

 

f:id:jcilhontai:20200612124157j:plain

【立林己喜男さんを送る会のお礼とご報告】

6月2日(火)、無事、「葬送のミサ」に続いて「立林己喜男さんを送る会」を執り行いました。当日はコロナ禍という制限された時期にも関わらず100名以上の方に参列していただき、たくさんの人たちで立林さんを送ることができました。立林さんの人柄や交友関係の広さがしのばれました。

 

f:id:jcilhontai:20200605141256j:plain


ご参列いただいた方々、心を寄せていただいた方々、お花や弔電をいただいた方々、どうもありがとうございました。


「送る会」の中で報告された「立林さんの人生と亡くなられた経緯」及びスライドショー「立林さんの人生と活動を振り返る」(写真や動画など)のデータなどを以下のgoogledriveに保存し、閲覧できるようにしました。故人を偲ぶよすがとしていただけたらと思います。


https://drive.google.com/drive/folders/1OZdbsQem111aQMpSpT1M_d9k_UDJNEUo?usp=sharing
(※スライドショーのファイルはデータサイズが重たいため、パワーポイントが見れる環境で、ダウンロードしてからご覧ください。)

 

今後、立林さんのご遺骨は、2週間ほど京都市地域・多文化交流ネットワークサロン内の礼拝室に安置し、6月19日(金)にカトリック衣笠墓地に納骨する予定です。
また日本自立生活センター事務所にもしばらくの間ご遺影とお花で祭壇を設ける予定です。どちらにでもお参りにきていただけたらと思います。


なお、献金(香典・募金)はあわせて19万6200円いただきました。送る会の必要経費、及び立林さんの遺品整理や住居明け渡しにかかる費用などに使わせていただきます。ご協力いただき、どうもありがとうございました。


おかげさまで立林さんも心置きなく旅立つことができたと思います。


みなさまにおかれましても、末永くご健勝にお過ごしくだいますよう、心からお祈りいたしております。

 

f:id:jcilhontai:20200605140654j:plain

 

「立林己喜男さんを送る会」
呼びかけ人:矢吹文敏(日本自立生活センター代表)、前川修(希望の家所長)、大崎雅彦(ワークス共同作業所所長)、香田晴子(車いすと仲間の会代表)、小泉浩子(日本自立生活センター自立支援事業所所長)

 

連絡先
日本自立生活センター
(TEL)075-671-8484
(FAX) 075-671-8418
(E-MAIL )jcil@cream.plala.or.jp
京都市 地域・多文化交流ネットワークサロン
( TEL ) 075-671-0108
( FAX ) 075-691-7471
( E-MAIL ) info@kyotonetworksalon.jp

【訃報及び告別式のお知らせ】

突然のことですが、JCILで一緒に活動してこられた立林己喜男さんが、5月27日早朝にお亡くなりになりました。
享年62歳。死因は心不全でした。

 

f:id:jcilhontai:20200530103323j:plain


2012年に障害者施設を出て京都市南区で自立生活をはじめ、地域で多くの交友関係を築いてこられました。バリアフリー生活保護の運動にも取り組んでこられました。

カトリック教会の信者でもあり、昨年はローマ教皇とお会いできたことをとても喜んでおられました。


数日前から少し体調を崩しておられたのですが、今回の逝去は私たちにとってもあまりに突然のことでした。


大変残念なことですが、辛いときも「笑顔でいこうよ!」とよくみんなを励ましてくれました。


みんなで立林さんを偲び、送り出すために、以下の通り、「立林己喜男さんを送る会」を開きたいと思います。


なお、ご遺体は、5月30日11時に親族含め少数の関係者の立会いのもとで火葬されます。その後、遺骨をお預かりし、以下の通り「送る会」を執り行います。


【立林己喜男さんを送る会】
日時:6月2日(火)15:00-16:30
※時節柄、以下の点、ご了承ください。
・受付は14:45ごろよりはじめます。長時間の滞在を避けるため待つ場所を用意しておりません。
・同日13:30-14:30、葬送のミサも行われます。ミサについては、カトリック信者限定、20人までの人数制限というかたちをとります。ミサへの参列はご遠慮ください。
場所:京都市 地域・多文化交流ネットワークサロン
住所:京都市南区東九条東岩本町31
アクセス:http://www.kyotonetworksalon.jp/access/access.html

感染症対策:マスク着用、こまめな手洗い、手指消毒にご協力ください。会場は、通気をよくし、人と人との距離がとれるよう設営に配慮しますが、多人数の密集とならないように、各団体におかれては人数調整にご協力いただけたら幸いです。発熱のある方や体調不良の方はご遠慮ください。

連絡先:
日本自立生活センター
(TEL)075-671-8484
(FAX) 075-671-8418
京都市 地域・多文化交流ネットワークサロン
( TEL ) 075-671-0108
( FAX ) 075-691-7471


呼びかけ人:矢吹文敏(日本自立生活センター代表)、前川修(希望の家所長)、大崎雅彦(ワークス共同作業所所長)、香田晴子(車いすと仲間の会代表)、小泉浩子(日本自立生活センター自立支援事業所所長)

介助者募集中です!!

久しぶりのブログ投稿となってしまいました。

 

ここ1、2ヶ月の間に今までの当たり前がすっかり当たり前ではなくなってしまいましたね...。学校に行っちゃだめ、仕事に行っちゃだめ、外食したらだめ、人に近づいてはだめ、、、緊急事態宣言も最近ほぼほぼ解除されたとはいえ、今までの日常が失われて、気持ちが滅入ってしまっている人も多いのではないでしょうか...。

 

f:id:jcilhontai:20200524172222j:plain

閑散とする京都

 

そんな状況の中でも、日々懸命に働いてくだされている医療従事者の人達にスポットライトを当てて応援しようというキャンペーンが流行っていますね。医療の最前線でコロナ対応に当たっておられる方々には本当に頭が下がります。

 

一方で、医療従事者と同じくらい、この非常事態の中で最前線で働いている人たちがいます。地域での障害者の暮らしを支える介助者(ヘルパー)の人たちです。

 

私を含め、介助を使いながら地域で暮らしている障害者にとって、介助者の存在は命綱と言っても過言ではありません。こんな史上稀に見る非常事態の中でも、毎日毎日欠かすことなく介助に来てくれるからこそ、私たち障害者の生活が成り立っているのです。

 

病院や施設ではなく、地域でみんなと一緒に暮らし続けることができるのです。

 

それくらい重要な仕事である「介助」ですが、実は慢性的な人手不足に陥っています。介助者不足が深刻になればなるほど、障害者の地域での生活がもろく危ういものになってしまいます。どんなに重度な障害があっても地域で暮らす、自分らしく暮らす、みんなと一緒に暮らすためには、介助者のみなさんの支えが不可欠なのです。

 

日本自立生活センター(JCIL)では、私たちの生活を支えてくれる介助者を大募集中です!!

 

介助派遣先は主に京都市内。年齢や性別・経験の有無は問いません(現在は男性の方が不足しているので、男性を優先的に歓迎です)。実際に障害当事者の人とコミュニケーションをとりながら、介助について学び、暮らしに寄り添って地域生活を支えてくださる方を募集しています。

 

介助というお仕事、例えば↓↓↓こんな感じです♪

f:id:jcilhontai:20200524170103j:plain

買い物の様子:当事者の指示を聞いて商品を取っているところ

f:id:jcilhontai:20200524170509j:plain

駅の券売機で切符を買う様子

f:id:jcilhontai:20200524170641j:plain

電話を耳元にあてて支えている


写真は介助のほんの一例です。

仕事内容や給与など、詳しくは 日本自立生活センター自立支援事業所の募集要項 をご覧ください。

 

みなさまのご応募お待ちしております!!!

新型コロナウイルス感染対策

連日ニュースで報道されているように、新型コロナウイルスが世界的に流行し、日本でも急速に感染が拡大しています。

薬やワクチンがまだ開発されていないだけに、「もしも自分が感染してしまったら...」と恐怖を感じている方もたくさんおられるのではないでしょうか。

 

厚生労働省からのお知らせによると、新型コロナウイルスの集団感染を予防するためには、「3つの密」を避ける行動をとることが重要なようです。つまり、、、

 

1. 換気の悪い「密閉空間」を避ける。 

2. 多くの人が集まる「密集場所」を避ける。

3.  間近で会話や発声をする「密接場面」を避ける。

(出典の厚労省ホームページはこちら) 

 

f:id:jcilhontai:20200402144409p:plain

出典:首相官邸 HP より

 

これを受けて JCIL の事務所でも、こまめに換気をしたり、手洗い・手指消毒を実践したり、お互いに距離をあけて対面にならないように着席したりといった対策をとっています。

またいつもは事務所でメンバーが集まって行なっているミーティングをSkype などで対応することも検討しています。

 

f:id:jcilhontai:20200402144607j:plain

先日のミーティング風景

 

いつになったら終息するのか全く先が見えませんが、みんなでお互いに気をつけましょう !