生活保護改悪に対する行動 厚労大臣 参議院議員あて

またまた、こんばんはです。
 
生活保護改悪に対する行動の続報です。
 
本日6月14日、厚生労働大臣厚生労働省社会援護局長
および、参議院議員厚生労働委員あてに、
以下の手紙をそえて、
先日(6月12日)発表した声明文を送りました。
(なお、声明文は、以前ブログに投稿した要望書とほぼ同内容です。)
 
私たちは、生活保護法改正案の廃案を求めています。
ただ現実的にそれが難しいとしたら、なんとしても現場への影響を最小限にくいとめたいと思っています。
 
そのため、私たちの立場から実際に運用面で留意すべきことを伝えるために、以下の手紙を厚生労働大臣や厚生労働委員などにあてて出し、
もし審議に入ったら、少しでも実のある審議を望むことを伝えました。
(手紙の内容は、京都市との話し合いで、京都市に伝えたことと重なります。
わたしたちは、自立生活をしている重度の身体障害者精神障害者生活保護を利用しているトランスジェンダーの者、職場でパワハラを受けうつになり生活保護を利用している若者など、さまざまな立場の者で構成されている集まりのため、そのさまざまな立場から、運用面で留意すべきことを伝えました。)
 
 
厚生労働省 社会援護局長 村木厚子 様 
 
 
 日頃より、福祉施策の拡充にご尽力いただきありがとうございます。
 私たちは、京都で活動する障害者当事者団体や非正規の若者中心の労働組合などのゆるやかな集まりです。この間の生活保護法の改正(改悪)案に対して、私たちの生活をおびやかすのではないかと、危機感を募らせており、先日6月12日に京都市役所にて、添付の声明文を出すとともに、私たちの地元の地域行政の京都市に対して要望書を提出し、話し合いをしました。(京都市への要望書も添付します。新聞、ニュース記事も添付します。)
 私たちは、まず、生活保護法改正案の廃案を求めています。それがかなわない場合でも、扶養義務の強化、申請の厳格化等を定めた改正案24条の削除を求めます。
 そして、24条の削除がかなわないとしても、以下のような点について最大限配慮がなされるよう、国会審議において真摯に審議していただくことを望みます。
 なにとぞ、よろしくお願いします。
 
1.      扶養義務の強化は、私たち重度障害者の自立生活の否定につながります。障害者の自立は、まず親からの自立です。今回の法案では、親に資産がある場合、重度障害者は自立せずに一生親に面倒をみてもらって暮らせ、ということになります。扶養義務よりもまず、私たちの自立の意志を尊重することが大切であり、そして自立=就労ではなく、生活保護を受けながらの自立生活もあるということを、厚生労働省においても確認するようにしてください。
 
2.      生活保護関係全国係長会議資料では、扶養義務者への報告や扶養義務の通知は、DV被害を受けている場合などをかんがみ、きわめて限定的な場合に限るとされています。京都市においても、一律に扶養義務を強化するという対応はしない、と確認をとりました。厚生労働省においても、さまざまなケースで、家族との関係をこじらせ、家族の扶養が受けられなくなる状態があることを想定し、地方自治体にそのことを周知するようにしてください。たとえば、トランスジェンダーの人々は親と絶縁してしまう場合が多いです。精神障害がある人々も、うちの家族にきちがいはいらない、と言われて、絶縁するケースもあります。そうした場合、家族に養ってもらえ、と言われても、家族と連絡すらとれないことがあり、申請をあきらめてしまうことがあります。
 
3.      就労支援についても、さまざまな事情で就労が不可能になる場合を十分に想定してください。たとえば、職場でいじめやパワハラにあい仕事をなくした者は、次の仕事につく際に、おそろしい恐怖感を感じます。ひきこもりだった人が、仕事をはじめようとしても、精神的にすさまじいプレッシャーを感じます。トランスジェンダーの人は、戸籍上の性別と見た目が違うので、面接の段階から差別を受けます。稼働世代で稼働能力があるとみなされても、社会の障壁により、働けなくなる事情がたくさんあります。そのことを十分に想定した上で、無理な就労支援はしないこと、就労可能と見なして生活保護を受け付けない、などということのないようにしてください。
 
4.      精神科への通院のハードルがきわめて高いことも理解してください。精神科へ通うことで社会からも家族からも差別されます。手持ちのお金がわずかで、通院できない人もいます。そうした場合、手帳もなく、通院歴もないから、健常で働けるはず、とみなさないでください。
 
5.      以上あくまで私たちの立場からの一例です。さまざまな事情で、家族との関係がこじれ、あるいは就労ができなくなります。法改正に際しても、そうした様々な事情を抱えている人々が窓口で追い返されないよう、最大限の配慮を願います。
 
6.      最後に、現在、日本の生活保護の捕捉率は2030%と言われています。7080%の人々が生活保護を利用できてないということは大きな社会問題と考えます。申請にいきつく前に、そもそも生活保護を利用できないと思い、苦しんでいる人もたくさんいます。不正受給対策ばかりでなく、そういった人たちを捕捉していけるような行政施策を真摯に願います。
 
2013614
日本自立生活センター
所長矢吹文敏
生活保護の改悪に反対する人々の会
代表小松満雄