生活保護 裁判 大阪高裁に行ってきました

 

7月25日(月)、生活保護基準引き下げの取り消しを求めて8年間闘っている「いのちのとりで裁判」の京都訴訟の控訴審が大阪高裁で第1回の期日を迎えました。
昨年9月の不当判決を覆すべく、多くの原告・支援者が大阪高裁につめかけました。
この日は、昼前から裁判所前での街頭情宣を行い、京都で集めてきた署名の提出、裁判、報告集会と盛りだくさんのスケジュール。
暑い中、ビラ配りをしてから休憩し、午後の予定に備えました。

 

尾藤弁護士と裁判所前で勝利のポーズ



法廷に向かう原告、支援者



裁判では、原告2名の意見陳述と弁護士4名によるプレゼンが行われました。
原告である小松満雄さんは、「裁判官も生活保護で暮らしている人たちの生活をやってみたらいい」「大阪高裁の裁判官は、ちゃんと私たちの生活を見てほしい」と力強く訴えました。
もう一人の森さんも、暑い中クーラーも控えめにしていること、家電や自転車が壊れた場合、新しく買うお金が工面できないなど、苦しい生活の実態を話されました。
続いて弁護士のプレゼンが始まります。

尾藤さんはコロナ過で苦しい状況におかれている中でも、生活保護の申請が増えていない事、これは政府・マスコミによるバッシングや問題のある対応によると批判。各地の裁判所で出されている判決の多くが国の主張追認するものであり、本来専門家の意見を組み入れる場である検討部会を完全に無視した形で引き下げが行われ、極めて不当であると訴えました。

森田さんは、生活保護相当CPIによる物価偽装の(これは、生活保護利用者が頻繁に買うことができない家電製品を過度に指標に組み入れ、また物価下落が大きかった年を意図的に組み入れるなどして下落幅を大きく見せる手法)問題を追及。

民谷さんは、原告が勝訴した熊本地裁東京地裁判決と不当判決が出たほかの裁判所との主張の違いについて解説してくれました。

大阪の小久保さんは、生活保護の引き下げが当時の自民党政権公約に書かれており、それを厚労省が忖度して行われた。それを各地の裁判所が判決文を「コピペ」までして追認していることを厳しく批判しました。
いずれの話も裁判官、傍聴者に強く響くものだったと思います。
最後の今後の日程調整の際に、国側の代理人のが「プレゼンをしたい」と言い出しました。これは京都の裁判ではなかったことなので、意外な感じを受けました。

 

 

弁護士会館で行われた報告集会


裁判後に大阪弁護士会館でおこなわれた報告集会では、意見陳述をした原告の二人とも京都地裁との違いについて、「話を聞く姿勢が違った」との感想を述べていました。
実際弁護士の説明でも、高裁の裁判官は原告側の意見陳述について時間的な制約を設けようとはしてこなかったようです。
裁判を傍聴していた元中日新聞の白井さんの集会での発言によると、今回のように被告である国側がプレゼンを求めてくるのは他の裁判でもあるようで、それだけ国が追い詰められている証左とのことです。他の省庁でも統計偽装がおこなわれて問題になっていますが、生活保護基準の引き下げもそれに類するものであり、マスコミがもっと追及すべきだと訴えました。
集会の最後にみんなで勝訴するまで闘おうと、意気上げをして終了しました。

次回期日は11月が予定されています。
今後ともご支援、ご協力をお願いします。