京都から宮古へ③

4月1日(日曜日)。
 今日は、三陸鉄道の一部路線の復興開通式典が、宮古市田野畑駅などで行われる。
 私たちは、その式典に参加するべく、朝の7時半にセンターを出かけた。国道45号線を約50キロほど北上し、途中から山間部の急な坂道を降りた所に、色とりどりの風船が舞い、たくさんの自動車が止まっていた。8時半から開始したと言う開通イベントには、平野復興担当大臣も参加。報道陣もごった返す中で、地元の人々にすれば、久々の明るいニュースに思わず笑顔が出てしまっている。まさに、三陸の足「三鉄」なのだ。
 テレビのコマーシャルも、地元新聞の紙面も大々的に特集を組んでいた。

 私は、以前から三陸鉄道の社長さんには一方的にメールを送りつけ、ぶしつけながら「復興に当たっては、ぜひともバリアフリーの鉄道にしてください。障害者も三陸の風景を楽しめる電車にしてください」とお願いをしており、とにかくも社長さんとはお会いしたかったという気持ちだ。
 きわめて多忙の中、イベント途中で日程を消化している社長さんに、あらかじめ会社の関係者にご挨拶をしていて、耳打ちをしてもらい、会っていただくことに成功した。
 そして開口一番、社長さんから「すぐにはできませんが、必ず徐々にバリアフリーのものにしていきます」と言うお言葉を頂いた。すでに、新しい電車の中には、車椅子用のトイレが設置されていた。このこと自体に驚いたのだが、私の顔を見るなりのお言葉に感激した。
 「よし、必ず、障害者仲間による三陸ツアーを組んで、リアス式海岸の展望を一緒に感じることができるように、その日を目ざして応援体制を組まなければ・・」と決意した。

 イベント会場には、東京銀座のレストランが無料でお料理を振舞い、イカ焼きが提供され、テレビ中継も行われていた。
 駅それ自体は山にありながら、東を向けばすぐそばには海の風景。津波がここまで来たと言われてもにわかには信じられない光景だった。

 イベントも半ば、私たちは、お昼過ぎに会場を後にした。

(続く)