生活保護仕送り目安設定@大阪市に対する抗議声明

こんばんは。
 
大阪市で、生活保護を受けてる人の家族に対して、仕送りを強要するような動きがあります。
 
下記の読売新聞記事を参照にしてください。
生活保護 仕送り目安・・・大阪市が設定」
 
ある程度年収のある家族は、生活保護受給者に仕送りしないといけなくなるかもしれません。
たとえば、障害のある子が生まれて、その子が一人立ちしようとするとき、生活保護をとって自立するかもしれません。そんな場合でも、親は子どもに仕送りの援助をしないといけなくなるかもしれないのです。
障害のある人、難病のある人が、家族にとって負担でしかないとしたら、そんな世の中、まちがっています。
 
そういうわけで、「生活保護の改悪に反対する人々の会」として、大阪市に対して抗議声明を出すことになりました。
本日、12月27日付けで大阪市に電話と、下記の文書をファックスしました。
 
大阪市のような動きを広げさせてはいけません。
なんとか撤回させるよう、がんばりましょう。
 
 
2013年12月27日
大阪市長 橋下 徹 殿

生活保護の受給抑制につながる、大阪市による
「仕送り額目安」の設定と、一部運用開始に対する抗議声明


生活保護の改悪に反対する人々の会 代表 小松満雄
住所:京都市南区東九条松田町28メゾングラース京都十条101
電話:075-671-8484 Fax:075-671-8418

私たちは、生活保護を受けながら自立生活を行なう身体障害者精神障害者等の集まりです。私たちは2013年12月6日に成立した、生活保護法改正案(扶養優先の強化)と生活困窮者自立支援法(生活困窮者の生活再建をうたっているが、生活保護を必要とする方々の排除を危惧)に反対してきました。それには下記のような理由があります。私たち障害者は様々な理由で家族から自立して暮らしていくのに十分な収入のある仕事から排除されてきました。障害年金もまた、蓄えなしで家族から離れて暮らすことが想定された額に設定されていません。私たちは障害者の自立生活を実現させるための経済基盤を生活保護に求めざるを得ませんでした。今回成立した法が、私たちのように生活保護を活用する仲間たちの自立生活の妨げにならないか危惧しています。

そんな中で、大阪市が来年7月の改正生活保護法施行に合わせて、生活保護受給者に対する親族の仕送り額に関する基準を定め、市職員に対しては7月を待たずに運用を開始する方針である旨報道(2013年12月13日付読売新聞)されました。私たちはこの大阪市の方針は、今回の法改正と合わせて、自立生活に踏み切る障害者に対するさらなる足かせになると考えています。

そもそも、今回の国会審議においても、扶養については「義務」ではなく、あくまで「優先」という扱いである旨大臣答弁が得られています。いたずらに扶養を強調し、保護受給の要件のように誤解を与える運用は、今回の法改正においても認められていません。大阪市の方針においても、担当の保護課のコメントでは「仕送りが強制できない」旨認めるものの、このような形で目安額を受給者とその親族に示すことは、事実上仕送りが強制や要件であるように誤解を生みます。市長の「目安に沿った形での親族援助を強く求めていく」というコメントも、大阪市の本音は法が認めていない扶養義務強化であり、ひいては支援が必要な人々の生活保護からの排除であるようにしか見えません。

今回の方針は生活保護を活用した障害者の自立生活にどのような影響を与えるでしょうか。私たち障害者は長い間社会に存在してはならないものとして、家庭や施設、病院に閉じ込められてきました。私たち自身の様々な運動と国際的な人権施策の発展など、長い時間をかけてこの社会を変えてきたのです。その中の重要な取り組みとして家族や施設の保護、管理のもとから、「自分の人生を自分で決める」ために多くの仲間たちが飛び出していきました。

その際、資産のない仲間たちは生活保護の受給を勝ち取ってきたのです。その過程では家族の反対や行政の怠慢など多くの問題を乗り越えなければなりませんでした。「金がないなら、家族や施設の元を出るな」というのは明白な障害者差別です。先般批准された障害者差別禁止条約でも、第19条で「(a)障害者が、他の者と平等に、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の居住施設で生活する義務を負わないこと。(b)地域社会における生活及び地域社会への受入れを支援し、並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(人的支援を含む。)を障害者が利用することができること。」と定められており、(b)のサービスには地域生活を送るために必要な経済上の支援も当然に含まれます。先に書いたとおり、所得保障の制度が十分でない現在、それは生活保護制度にほかなりません。

こうした中で私たちは生活保護を活用しながら自立生活を送ってきたわけですが、今回の大阪市の方針が運用されると、大阪市に居住する仲間の親・兄弟あるいは自立した子供たちに対して仕送りの「お願い」が行われます。かつて親子・兄弟でけんかもしながら勝ち取った地域自立生活、解決済みだったはずの骨肉の争いを大阪市は再開せよというのですか。あるいは、障害者の子供は健常者の子供と違って、成人し、経済自立を果たした瞬間から、親の生活を支える義務を負うのですか。障害者は子供を産むなとでも!?今は無きあの法律の言葉が思い起こされます。「…不良の子孫の出生を防止するとともに、…」(優生保護法第1条より抜粋)私たちが何よりも危惧するのは、私たち自身のこと以上に、これから私たちに続く若い世代の障害者たちが、私たちが勝ち取ってきた権利から排除され、私たちや先輩たちが抜け出してきたところの社会の片隅に再び追いやられることです。

以上の観点から、わたくしたちは今回の大阪市の方針に反対し、抗議します。ただちに方針を変更し、運用を撤回してください。そして、今回の法改正の後であっても、支援を必要とするすべての人々にもれなく支援を届けてください。市職員や貧乏人、私たち被差別者をたたくことはやめてください。市職員は福祉職員としての誇りと職をかけて弱い者いじめの方針に抵抗してください。歴史と道理は私たちの側にあります。

以上