京都市交通局で新人研修を行いました

京都市の交通局で、今年度からバスの運転手として働かれる新人の方に向けて、研修を行いました。

 

まずは、講義の時間。

  • 公共交通機関は、障害のある人にとって、移動の権利を保障するための、とても大事なものであること
  • 今でこそ、障害のある人も、バスや電車などの公共交通機関を使えるようになっているけれど、昔は、「おいそれと、すっと乗れる時代ではなかった」こと
  • 障害のある先人たちが体を張って、しぶとく、粘り強く運動してきた歴史があるからこそ、少しずつバリアフリー化が進んできたこと
    (例えば、地下鉄烏丸線も、もともとはエレベーターがつく予定ではなかったけど、障害当事者の運動によって、1981年に烏丸線エレベーターついた(全国で地下鉄に、開業当初からエレベーターがついたのは京都市が初!)。バスについては、障害当事者が、アクセシブルなバスがどんなものかを知るためにカリフォルニアに視察に行き、そのあと、京都市に報告・交渉を重ね、1991年に初めてリフトバスを走らせた。バリアフリーバスは高価で、一年に3台しか導入できないと言われたが、それだと全てのバスをリフトバスにするの300年かかるということで、交渉を重ね、導入を推進したこと)
  • どんなバス停のかたちや、どんなバスの停め方が、障害のある人にとって困るのか
  • 差別解消法について

などのお話がありました。

 

その後は、実技の時間。実際に電動車いすや手動車いすを用いて、車いす体験をしたり、バスの乗降を実際に行ったりしました。

なかでも私が大事だと思ったのは、コミュニケーションに関する実技です。

バス停に、障害者と、その隣に立っている人(健常者)がいた場合、どちらに話しかけますか? という問いかけに対し、新人の方のほとんどが「付き添いの方の方に声をかける」とのことでしたが……

 

それは間違い!

 

なぜなら、隣にいる人は、友達かもしれないし、仕事の関係者かもしれないし、親戚かもしれない。隣にいる健常者が、介助する人とは限らないからです。

バスに乗るためにどうすればいいか、どんな配慮が必要かは、本人が一番よくわかっています。

もしかしたら、その人は言葉で返答することが難しくて、隣にいる人から返答が返ってくるかもしれないけど、たとえそうだったとしても、まずは障害のある本人に声をかけることが大事です。

 

そしてなにより、車いすに乗っていたとしても、障害があるとしても、他の人と同じように、1人の乗客であることに変わりはありません。車いすに乗っているから、障害がある(ありそう)だから、というだけで、本人に話しかけないのは、おかしい。

また、ひとくちに「障害者」と言っても、障害の状況や程度、求める配慮は、人それぞれ全く違います。固定観念で決めつけず、まず本人に尋ねるのが大事であること。

そのようなお話がされました。

新人の方の中には、目から鱗の考え方だったという人もおられたようで、みなさん、とても熱心に聞いてくださりました。

 

この研修を受けられた新人の皆さんは、これから京都市のバスの運転手として活躍されることと思います。

今日の研修で学んだことや発見したことを活かして、これからも、障害のある私たちの移動を支えてください!