京都から宮古へ

京都から宮古へ ⑥
 
 4月5日(木)、一昨日のハックの家に続いて、今日は障害者が関わる近隣の工房と被災した観光場所を訪ねることにした。地元スタッフの案内で、車2台で出かけた。
 最初に訪れたのは、絵はがきの風景や物語にも登場する浄土ヶ浜宮古市内から車で20分ほど走ると、立派に舗装された道路から、急に細かくひびの入った少し凸凹の道を右折し、広い駐車場に入った。やたらと人なつこいカモメの出迎えを受け、浄土ヶ浜ビジターセンターとレストハウスが隣り合わせた場所を案内してもらった。
昨年の地震津波による災害の直前近くに完成したばかりの建物と言うことだったのだが、レストハウスのほうは未だ公開されるだけの修理が出来ていない。私たちは、ビジターセンターのエレベーターを使って地下へ降り、可能な限り海岸沿いに近づき、海岸の美しい風景の観光スポットを見学することが出来た。
この美しい風景を、過去何十年、何百年に1回かの割合で津波が襲っており、昨年の東日本の津波災害のことではなく、それより以前の時期に三陸海岸を襲った津波の史実や、その当時の生々しい写真や記録も掲示されていた。もちろん、近海の魚のことや地理的な説明などが書かれてもいた。
この次に訪れる頃には、やはり、2011年3月11日の記録も掲示されているのだろうか。何か、辛い記録である。
 
その後に訪れたのは、「ワークプラザみやこ」で、全くのアポイントも取らずに突然に訪れてしまったにも関わらず、中田所長さんが快く案内してくれた。
クリーニング作業、襖・障子の張り替え作業、清掃作業業務の引き受けなどを行っていたのだが、私たちが一番に関心を持ったのは、「鮭革細工作業」であった。岩手県の魚、宮古市の魚、そして縁起の良い魚として大事にされている「鮭」。その皮を鞣(なめ)して作った革細工で、高級感が溢れている。
名刺入れ、小銭入れ、キーケース、カードケース、財布、ストラップやしおりなど、鮭という魚の幅や模様を活かした商品が多い。
宮古を訪れる観光客が急激に落ち込んでしまった今、現地だけのお店に卸してもなかなか売れることが無い。商品の販路開拓をしなければならないとのことだった。京都からのメンバーが、お土産として少しずつ買わせていただいたが、結構評判は良い。少しでもお手伝いしたい商品である。
お昼の時間に訪ねたために、クリーニングなどの他の作業についての現場をを見ることはできなかったが、次の日程もあり、私たちはその場からお別れした。
 
さて、今日の予定で残るのはもう一ヵ所。夕方には十分帰れるコースで決めたもの。近くにあった病院の食堂で昼食をとり、いざ出発。明日には帰京するために、「途中でお土産なども買って」などと思っていたのだが……、目的地を設定したカーナビを信用し過ぎたために、その後とんでもないことになってしまったのだ。
それはまた続きで。