視察・支援団⑦「南三陸の港町」

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(民家があったであろう場所に落ちていた黄色い花弁の造花)

仙台のCILたすけっとが準備しておられるボランティア用のアパートを出て、南三陸のボランティアセンターに向かうことにした。高速の降り際、標識には先日訪れた石巻とは逆方向に気仙沼と書いてある。報道で何度も見たことのある土地名だった。

今回の目的は視察。これからの復興、あるいは(地域によっては)避難・移住の支援を継続的に関わっていくための第一歩。たった二日ではあったが、現地の障害者支援の拠点で活動する中心的な方々から濃密なお話を聞いた。何が必要とされているのか、人の声や姿の中に様々なものを感じた。

他方で、いわゆる被災地域の風景にはまだほとんどぶつかっていなかった。沿岸部の被災地にはそれほど行っていなかった。CILたすけっとの菊地さんからの薦めもあり、今日僕らは南三陸に行くことにした。高速を降り、山間の細道を抜けていくと、海に続く川の傍を道が伸びていく。どこにでもある山間の光景。突然、瓦礫の山と崩れかけた民家が現れる。

しばらくすると、海が見えた。そして、そこはかつて港の傍の街だったのだろう。街を走っていたのであろう道だけは整備されていた。絨毯のような瓦礫とかろうじて残った廃墟のような建物がいくつかあった。僕らは車を止め、廃墟の中を歩いてみた。瓦礫を撤去する業者の車がぽつぽつと通過し、粉塵が舞った。

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 ← (車から降りて瓦礫の街に向かう下林くん)

遠くからはただの瓦礫に見えていたが、近くによると、人が住み、使い、様々な記憶を秘めたものたちが、見渡す限りに敷き詰められていたのだった。真っ二つに折れた携帯電話、男性もののシャツ、ペン、造花、カーナビ、子供のおもちゃ、軍手、マフラー、鏡の一部。


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昨日通った仙台港の近くの水田がぐちゃぐちゃになっていた姿を思い出した。みんな言葉を交わすでもなく、黙々と街の奥に歩いていった。



                (街の奥に歩いていく香田さん) →





結局、ボランティアセンターには行かないで、仙台に戻ることにした。帰りの道の駅で、みんな喉や手に埃の気配を感じて、手洗いやうがいをした。僕と下林くんがコーラを買って飲んでいると、松井さんがコーラがいかに体に悪いかを力説された。段原くんと三保谷さんはベンチの下を移動する毛虫をずっと見ていた。濱谷さんは木によりかかって新聞を読んでいた。香田さんが毛虫をわざと踏もうとして、みんな笑った。
(st)

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